憎しみが止まらない。
怒りが止まらない。
どうして、なんでと、叫ぶ言葉に意味はない。
それを言葉に出すこともできない。
「スコール」
おそらく気遣うキスティスの顔を、見ることもできない。
頭を抱えて蹲って、必死に答えを考えて。
そうして出てくる答えは全部、全部、何もかもが救いようがない。
新聞に記された言葉さえ、脳味噌をすり抜けるようで。
『ティンバーの多数のレジスタンス組織、連合』
この写真になくても、この情報になくても、知っている。
一つの巨大なテロリスト組織の中心に、見慣れた金髪の男と、見慣れていたはずの黒髪の女がいる事を。
――――サヨナラを告げられた事が、ずっと頭に残響している。
「何考えているんだよ」
自分がボロボロにした男を、無表情に見下ろす。
かつてチキン野郎と称した男は、そのチキンのような足りない頭に色んな事を詰め込んで。
直情と反射で動く男ではなく、頭で考え思考する、良き戦士になったらしい。
「なんか、いえよ」
いうべき言葉などない。
命を取るなという命令に従って行動しているだけだ。
邪魔ならば、命令ならば、知っている顔であろうと殺すだろう。
「サイファー」
口惜しそうな言葉と声で、絞り出すように呼び掛けられる。
「スコールに、何か、言ってやってくれよ」
その言葉に答える言葉は、どこにもない。
――――言ったところであの男は理解しない。何もかもを手放せない、強欲な男には。
「どうしてスコールと分かれたの」
その言葉に嘘を言いたくなくて、口を閉ざした。
曖昧に微笑んだまま、その複雑な悲しそうな顔を見る。
そんな顔をさせたかったわけではない。
皆には笑っていて欲しい。
地獄に落ちる私の共は、もう見つけてある。
「キスティス、さようなら」
取り繕う言葉も嘘も言いたくない口からは、訣別の言葉しか出てこなかった。
――――スコールのことを無言で託した私は、きっと悪女と言われることだろう。

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