❖ 聖なる愛は必要なく ~S.A.Birthday 2024~ - 6/7

 

12月23日の正午。
エスタから帰還した足で、サイファーはバラムガーデンの中を歩いていく。
「お帰りなさい。サイファー」
穏やかにかけられた後ろからの声に、振り返る。
長い黒髪を流したいつも通りの姿で、彼女は微笑んでいた。
「イデア」
名前を呼んだサイファーに、その顔を覗き込むように見つめて、
「1日、遅いけれど。お誕生日おめでとう」
イデアは嬉しそうに笑う。
「幸せな誕生日を迎えられたかしら?」
「……さぁな。ただ」
濁すような答えとは裏腹に、サイファーもただ笑う。
「めんどくせぇ誕生日だったぜ」
両手に嵌めている、いつもの手袋の下。

 

――――左手の薬指に輝いた、クロスソードを隠して。

 

―――――――― ▼ ――――――――

 

「スコール。それ苦しくねぇか?」
「別に」
警備任務のスケジュールは、既にかつかつだ。
それでも、時間を作ってくれた仲間たちに感謝を告げて、晴れ晴れとした顔で任務に復帰したスコール。
その彼の首元に、きっちりと巻きつけられた、マフラーが一つ。
寒さが厳しいこの季節に、見栄え重視からよりにもSeeDの正装姿で警備している。
各々が何とか寒さをしのぐ中。SeeDの正装姿と組み合わせても、違和感のない上等なマフラーは仲間の中でも目立つ。
しかし、それの入手先をスコールは言わない。
マフラーの入手先を薄々察しているだろうゼルの視線を感じながら、しっかりと襟首を隠してスコールは笑った。
「暖かくて、便利だぞ」
そのマフラーの下。
襟でも隠せない、喉仏の上の方に。

 

――――くっきりと刻まれた、歯型を隠して。

 

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